★米国は為替介入を実施するか?★ ポールソン米財務長官による「為替介入の可能性を排除しない」との言葉を発端に、米国は実際にドル買介入を実施するのか?との憶測が飛び交っている。以下ではその背景と可能性を概観したい。
【FRBと財務省】
そもそもの発端は、6月3日にバーナンキFRB議長が「ドルの下落は歓迎出来ない輸入コストの増加をもたらす」とし、「ドル安の影響を注視している」との見解を発した事に遡る。通貨を直接的な管轄下に置かないFRBが、その通貨動向に対し懸念を発した事が異例事態として捉えられた。しかしこれだけでは一般論を述べたに過ぎないとも解釈出来る。
6月9日、ポールソン米財務長官は「通貨介入という選択肢、決して選択肢の中から排除しない」との見解を示した。通貨を管轄に置く財務省長官のこの言葉が決定的となった。これで、FRBと財務省がドル安に対して共通の懸念認識を有しているとの見方が広がり、ドル買介入への憶測が飛び交う事となった。
【なぜ米国はドルを上昇させたいのか?】
ブッシュ政権は2001年の発足以来、為替介入を実施した事がない。その米国が市場に為替介入の可能性をちらつかせてまでドルを上昇させたい理由は一体なんなのか?
経済データ等の詳細は省くが、現在の米国経済は「低成長(景気後退)」+「インフレ上昇」のジレンマ状態にある。インフレを抑制するには利上げを実施するのがセオリーだが、景気が後退局面にある中での利上げは、その景気後退を加速させかねない。とすれば、通貨高により、輸入コストを引き下げる措置が有効となる。理論の詳細は省くが、通貨高は原油価格高騰などの影響を相殺し、インフレ抑制に繋がるという側面を持つ為である。
換言すれば、現在の米国には既述の「低成長」+「インフレ上昇」を解決する具体的な策がないとも解釈出来よう。
【ドル買い介入を実施する可能性は?】
結論から言えば、米国が実際にドル買介入を実施する可能性は低いだろう。介入を成功させるには、日本やユーロ圏など他国との協調が必須となる。しかし原油価格が上昇している現状ではインフレ上振れ圧力は世界中にあり、アジア諸国でもその原油高に対処するため通貨高を選好している。事実、6月10日に韓国中銀は自国通貨買い/ドル売り介入を実施している。現時点で、各国には米国に協調する有益な理由がないのである。
米国単独で介入を実施する可能性も除外出来ないが、その弊害は大きい。仮に単独介入した場合、今後例えば中国に対して柔軟な為替相場の実現や、人民元の上昇を要求し辛くなる。
カギは大阪G8
今月13日(金)、14日(土)に大阪でG8が開催される。今回のG8は財務相会合であり、中央銀行総裁は参加しない。中銀総裁が参加しない会合では為替に関して公式な言及がなされないのが通例である。しかしドル安牽制を発している米国が、ここまでのスタンスとは裏腹にG8で為替に対するイニシアチブを何も取らなければ、市場はここまでの米国のスタンスに対して「単なる深読みだったのでは?」と再解釈する可能性が出てくるだろう。そうなれば一転してドル売りへと傾斜する可能性も除外出来ない。
口先介入が続く間は心理的にドルを売りづらい状況ではあるが、各国が自国通貨高を選好しやすい地合いにある中、このままドルだけが大きく上昇していく可能性はそう高くないだろう。既に述べたように、カギはG8での米国次第と言えよう。

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